Mountain Kuma’s Blog

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山登り好きな循環器内科医のブログです。

意外と低い?山岳遭難死亡率

「山岳遭難で亡くなる確率」と「交通事故で亡くなる確率」はほぼ一緒という話があります。
 

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こちらは「交通事故における死亡者数の推移」です。
山岳遭難と異なり、交通事故死亡者数は年々減少しており、平成30年には統計を開始した1948年以降最小になったそうです。
10万人あたりの交通事故死亡者数は3人程度」で推移し、徐々に減少しています。


一方で、山岳遭難はどうかというと、まず母数となる総登山者数を知る必要があります。
総務省が5年に1回行っている社会生活基本調査によると平成28年の登山者数は1039万8000人とのことです。
同年の山岳遭難者数、山岳遭難による死亡・行方不明数から算出すると、
 
「年間1万人あたり2.8人が山岳遭難する」
「年間10万人あたり3.1人が山岳遭難で死亡・行方不明となる」
 
                 ことがわかります。

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これは交通事故の死亡者発生率とほぼ同等です。
登山をしている最中に遭難死する可能性と、街中を歩いていて事故死する可能性がほとんど一緒というのは、「登山者側にしてみれば意外に少ない」と思われるかもしれません。
 

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しかしながら、事故が発生した場合の死亡率を比較すると、
山岳遭難は交通事故の100倍以上の死亡率になります。

 

最近では気軽な救助要請が問題視されてはいますが、それでも山岳遭難時の死亡率10%以上というのは、山岳遭難の重大性を示唆しています。
 
ドライバーの皆さんはほぼ全ての方が自動車保険に入っていると思いますが、登山者の皆さんは山岳保険に入っていますでしょうか?
最近は1日単位から入れる気軽な保険も出ていますので、是非一度ご検討下さい。
 

ちなみに私は統計に関しては最低限の知識しかありません。
それでもこの単純比較は少々乱暴かなと思っています。
専門家からすればおかしな点が多々あるかもしれませんが、温かい目で読んでいただければ幸いです。